家電収納を考える|隠すのか見せるのか

キッチンデザイン

キッチン家電の置き場所、本当にそこでいい?

「見せる・隠す」から考える、使いやすい家電収納のつくり方

キッチンを計画するとき、ざっくり検討になりやすいのが家電の置き場所です。

冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ケトル、コーヒーメーカー、ミキサー……。

今のキッチンには、想像以上に多くの家電があります。

ところが、キッチンの打ち合わせでは、

「電子レンジはこの位置」
「炊飯器はカウンターの下」
「トースターは電子レンジの横」

というように、キッチンメーカーや住宅メーカーが用意したざっくりとした収納スペースに、家電を当てはめていくことが少なくありません。

もちろん、それで使いやすければ全く問題ありません。

でも、本当に考えたいのは、

「その家電を、どこに置くと自分や家族の暮らしで一番使いやすいのか?」

ということです。

さらに、家電は単純に「置く」だけではありません。

毎日使うものだからこそ、

見せるのか、隠すのか。

隠すなら、扉をどう開けるのか。

使うときには、扉が邪魔にならないか。

熱や蒸気が出る家電なら、収納したまま使えるのか。

ここまで考えると、家電収納は単なる収納ではなく、キッチンそのものの使いやすさを左右する重要な設計要素になってきます。


家電は「収納する」より「使う場所」を先に考える

家電収納を考えるとき、最初に収納場所を決めるのではなく、家電を使う場面から考えてみましょう。

例えば電子レンジ。

電子レンジは、冷蔵庫から食品を取り出して温めることもあれば、調理途中で使うこともあります。

一方、炊飯器は毎日の炊飯が中心ですが、最近はご飯を炊くだけではない使い方も広まってます。

電気ケトルやコーヒーメーカーなど水を使用する家電は、炊飯器同様、シンクや水栓との位置関係も重要です。

つまり、

「家電だから一か所にまとめればいい」

とは限りません。

むしろ、

  • 電子レンジ → 調理・冷蔵庫・テーブルとの関係
  • 炊飯器 → 米・水・食器との関係
  • ケトル/コーヒーメーカー → 水・カップ・豆との関係
  • トースター → パン・皿・調理スペースとの関係

というように、一緒に使うものとの距離から置き場所を考えると、かなり合理的になります。


「見せる」と「隠す」、どちらが正解?

家電収納には大きく分けて、

見せる収納

と

隠す収納

があります。

どちらが正解ということではありません。

重要なのは、その家電をどのくらい使うのかです。

例えば、毎朝コーヒーを飲む人なら、コーヒーメーカーを毎回収納するのは面倒です。

反対に、週末にしか使わないミキサーなら、普段は隠しておいた方がキッチンをすっきり保てます。

つまり、

毎日使う家電

→ 見せる・すぐ使える

使用頻度の低い家電

→ 隠す・収納する

という考え方が基本になります。

ただし、ここで一つ面白い選択肢があります。

「普段は隠れているけれど、使うときだけ出てくる」

という収納です。

これを実現すると、デザインと使いやすさを両立しやすくなります。


① 「コンセプタ」で家電を隠す

家電をすっきり隠したい場合に検討したい金物の一つが、**「コンセプタ(CONCEPTA)」**です。

コンセプタは、扉を開けたあと、扉自体をキャビネット内部へ収納できるポケットドア系のシステムです。

つまり、

扉を開く
↓
扉を横方向へ移動
↓
キャビネット内部に収納

という動きができます。

そのため、一般的な開き扉のように、扉を開けた状態でキッチンの前に大きな扉が残りません。

開いた扉をキャビネット内に収納できるため、扉が邪魔にならず、開けたまま内部の家電などが利用できるので、家電を隠したい場合にかなり有効です。

例えば、

電子レンジ
トースター
コーヒーメーカー
電気ケトル

などを一つの家電収納スペースにまとめて、普段は扉を開けておき、見せたくないシーンの時に閉められる。という使い方を良くされます。

使うときだけ扉を開け、扉そのものは収納内部へ格納する。

そうすれば、

「見た目はすっきりしているのに、使うときにはオープンな家電スペースになる」

という収納がつくれます。


コンセプタを使うなら「内部の設計」が重要

ただし、ここで注意したいのは、

金物を付ければ家電収納が完成するわけではない

ということです。

コンセプタのような特殊金物を採用する場合、扉の大きさや重量、キャビネット内部の寸法、扉が動くためのクリアランスなどを含めて設計する必要があります。

また、家電を収納する場合には、

  • コンセント位置
  • 電源コードの逃げ
  • 放熱
  • 蒸気
  • 棚の高さ
  • 家電の買い替え
  • メンテナンス性

まで考える必要があります。

特に電子レンジやオーブンなどは、メーカーが指定する放熱・設置条件を優先することが絶対条件です。

「収納の中に入るからOK」ではありません。

実際に私が提案し、設計する際も、隠したい家電リストを作成し、出来れば希望品番も踏まえ、サイズと設置条件(離隔距離)を確認し、高さ方向の検討も使う方の身長含め、考慮しながら計画をするので、なかなか単純な作業ではないです。


② 扉を上に逃がす「スイングリフトアップ」

もう一つ、家電を隠す方法として面白いのが、

上方向へ扉を逃がす収納

です。

家電収納などに利用できる「スイングリフトアップステー」があります。

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扉を上方向へ開くことで、家電の前を扉が塞がないようにする考え方です。

電子レンジなどの家電収納を目線に近い高さに設け、開いた扉を上へ逃がすことで作業の邪魔にならない収納が出来る金物になります。

これは例えば、

電子レンジを腰~目線程度の高さに設置し、その前面を扉で隠す

という設計と相性が良い方法です。

一般的な開き扉なら、

①扉を開く
②扉が手前に出る
③電子レンジを使うとき邪魔になる

となります。

一方、上へ逃がす構造なら、

①扉を開く
②扉が上へ逃げる
③家電の前が開放される

という使い方ができます。


③ 炊飯器には「スイングリフトダウン」という考え方

炊飯器や電気ケトルなど、蒸気が出る家電については、また違った考え方が必要です。

特に炊飯器は、使用中に蓋を開けるため、上部に十分なスペースが必要になります。

そこで、

扉を下方向へ逃がす

という方法があります。

スイングリフトダウンステーは、扉を下方向へ開ける収納に利用でき、さらに底板をスライドレールで引き出すことで、炊飯器などの家電を使いやすくする提案も出来ます。

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ただし、炊飯器の蒸気を「収納内部に閉じ込めたまま使う」ことが目的ではありません。

蒸気が出る家電については、メーカーが指定する使用条件や蒸気対策を必ず確認する。

そのうえで、必要ならスライドテーブルや換気・放熱対策を組み合わせる。

ここが重要です。

スライドテーブルを付ける事で、蒸気が出るタイミングはスライドを前に出す作業をすれば、キッチンを痛める事無く家電を使う事が出来ます。


④ 「見せる収納」は、ただ置くだけではない

では、家電を隠さずに見せる場合はどうでしょうか。

私は、見せる収納だからといって、

「カウンターの上に全部並べる」

ことが正解だとは思いません。

見せる収納では、

何をどこまで見せるか

を決めることが重要です。

例えば、

A:完全にオープン

カウンターの上に並べて使用する、オーソドックスなスタイル。

デザイン家電採用時や、使い勝手優先、また将来の買い替えにも柔軟に対応が出来る一方、

使用感や生活感が出てしまうので、お手入れ含め、綺麗に保つことが必須。

B:背面収納+オープン棚

使用頻度が高い家電や、デザイン家電は見せ、残りは隠すスタイル。

見せるお気に入りの家電と、ガッツリ使う機能優先の家電の両立が出来る。

各箇所のスペース検討が必須。将来を見越して生活スタイルが変わる場合、見せる・隠すのバランスが固定されるので注意が必要。

C:家電収納スペースを一つの家具として設計

キッチン本体とは別に、

「家電ステーション」

としてデザインする方法です。

この方法なら、家電そのものをインテリアの一部として見せることができます。


家電を「見せる」なら、色と素材も考える

家電はそれぞれデザインが違います。

黒い家電、白い家電、ステンレス、木目、ガラス……。

これらを無秩序に並べると、キッチン全体が雑然として見えることがあります。

逆に、

  • ブラック系で統一
  • ステンレス系で統一
  • 白系で統一
  • 木質収納+黒家電
  • グレージュ+ステンレス

など、ある程度のルールを作ると、家電が「生活用品」ではなく、インテリアの一部として見えてきます。

特に最近のキッチンでは、家電そのもののデザイン性も高くなっています。

だからこそ、

「家電を隠す」という発想だけではなく、「家電をどう見せるか」

もキッチンデザインの一部として考えてみたいところです。

見せる家電でメジャーなのは、【バルミューダ】が良く名前が上がります。

トースターから始まり、ケトルやオーブンまで、一式そろえろ事も出来、最近では鉄板や音質に拘った時計などもあり、キッチン以外でも活躍する家電も増えてます

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家電収納で忘れてはいけない「コンセント」

そして、家電収納を計画するときに非常に重要なのが、

コンセントです。

家電の置き場所を決めてからコンセントを考えるのではなく、

家電の位置とコンセントをセットで決める

ことをおすすめします。

特に注意したいのが、

  • 電子レンジ
  • 炊飯器
  • トースター
  • ケトル
  • コーヒーメーカー

など、複数の家電を一か所に集める場合です。

コンセントの数だけでなく、

どこに差すのか

も重要です。

家電の裏側にコンセントを作ると、プラグが邪魔になって家電を奥まで入れられないことがあります。

そのため、

  • 背面
  • 側面
  • カウンター下
  • キャビネット内部

など、家電のサイズとコードの取り回しを考えて位置を決めます。

また、電気容量の高い家電を複数同時使用する場合は、回路についても検討が必要です。

カップボードを全て1回路でまとめてしまうと、同時に家電を使用した際にブレーカーが上がってしまう。という事態になることもあります。

最近はオーブンなど容量が大きい物は別回路で基本されていますが、電気図作成の際には自身の採用予定家電と電気容量、回路とコンセント口数含め、確認しましょう。


「家電収納の寸法」は、今の家電だけで決めない

もう一つ重要なのが、

将来の買い替え

です。

キッチンは10年、20年、30年と使うもの。

しかし、家電はそれより早く買い替える可能性が多いにあります。

今持っている電子レンジにぴったり合わせて収納をつくると、数年後に買い替えた電子レンジが入らない、ということもあります。

そのため、

現在の家電寸法+ある程度の余裕

を考えておきたいところです。

ただし、余裕を取りすぎれば収納が大きくなり、キッチン全体のバランスが悪くなります。

だからこそ、

「将来どんな家電に買い替える可能性があるか」

まで考えて寸法を決めることが大切です。

多くのメーカーでは、同等サイズの展開で後継機種を出すことが多いですが、キッチン事情に合わせて奥行が浅い!や、壁にピッタリ付けて設置OK!など、サイズ・設置条件などは変わることもあるので、多少の余白を確保する事をオススメしてます。


家電収納は「金物」で大きく変わる

ここまで紹介したように、家電収納はキャビネットの形だけでなく、家具金物によって使い方そのものを変えることができます。

例えば、

収納方法向いている使い方
オープン収納毎日使う家電、その場で使う家電
開き扉、引出使用頻度が低い家電、移動して使う家電
コンセプタ家電を隠しながら使う
スイングリフトアップ電子レンジなどを隠して使う
スイングリフトダウン炊飯器などを引き出して使う
フラップ金物吊戸・上部収納
スライド棚蒸気・操作性が気になる家電

というように、それぞれに特徴があります。

つまり、「扉をどう開けるか」まで含めて収納を設計することができるわけです。

ここで重要なのは、それぞれの金物にも価格があり、追加費用が発生する。ということを忘れてはいけません。

高額なコンセプタだと、金物だけでも約25万。それに扉や収納本体、内部の棚や引出なども含めると、状況次第では100万以上する事もあります。

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「隠すこと」が目的になってはいけない

ここまで「隠す収納」を紹介してきましたが、一つ注意したいことがあります。

それは、

隠せばキッチンが使いやすくなるわけではない

ということです。

家電を単純に隠す。という場合、

「扉を開ける」
「家電を出す」
「コンセントを差す」
「使い終わったら冷ます」
「コードをまとめる」
「家電を戻す」

という動作が増えれば、毎日の家事は面倒になります。

だから、

見た目を整えるために、使いやすさを犠牲にしてはいけません。

特に毎日何度も使う家電なら、

「多少見えていても、すぐ使える」

方が暮らしに合っている場合があります。


「見せる・隠す」は家電ごとに決めていい

家電収納を考えるとき、すべてを同じ考え方にする必要はありません。

例えば、

見せる

  • コーヒーメーカー
  • トースター
  • お気に入りのケトル

半分隠す(扉を開けてその場で使う)

  • 電子レンジ
  • オーブントースター
  • ブレンダー

完全に隠す(開扉や引出、パントリーに置き、使う時に出す)

  • 使用頻度の低いミキサー
  • ホットプレート
  • フードプロセッサー

というように、家電ごとに収納方法を変えることもできます。

むしろ、この方が自然です。


まとめ|
「家電の置き場所」からキッチンを考えてみる

キッチンの家電収納は、

「ここに家電を置くスペースがあります」

というだけで終わらせるものではありません。

考えたいのは、

どの家電を、どのくらい使うのか。

そして、

見せたいのか、隠したいのか。

さらに、

隠すなら、どのような動きで使えるようにするのか。

ということです。

コンセプタのように扉そのものを収納内部へ逃がす方法。

スイングリフトアップのように扉を上へ逃がす方法。

スイングリフトダウン+スライド棚のように、家電を手前に出して使う方法。

こうした家具金物を組み合わせることで、家電収納は単なる「箱」ではなくなります。

そして、もう一つ大切なのが、

家電をすべて隠す必要はない

ということです。

お気に入りのコーヒーメーカーやケトルなどは、キッチンのインテリアとして見せてもいい。
反対に、デザインを邪魔するものや使用頻度の低いものは、きれいに隠してしまう。

つまり、

「見せるか、隠すか」ではなく、
「何を、どのように使い、どこまで見せるか」

を考えること。

それが、自分の暮らしに合った家電収納をつくる第一歩なのではないでしょうか。

キッチンを選ぶときは、キッチン本体の扉や天板だけを見るのではなく、家電を置いた10年後の暮らしまで想像してみる。

その視点を持つだけでも、キッチンの計画はかなり変わってくるはずです。

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