「収納量」だけでは決まらない、使いやすい収納を考える
KITCHEN STORAGE
キッチン収納は、たくさん入ればいいわけではない。
キッチンを考えるとき、多くの人が気になるのが「収納」です。
食器、鍋、フライパン、調理器具、食品、調味料、キッチン家電、ゴミ袋、洗剤。
キッチンには、想像以上にたくさんのものがあります。
だからこそ、
「収納を増やしたい」
「できるだけたくさん入れたい」
と考えてしまいます。
もちろん収納量は重要です。
しかし、キッチンデザイン研究所では、
「たくさん収納できること」と「使いやすいこと」は、同じではない。
と考えています。
どれだけ収納量が多くても、取り出しにくければ使いにくい。
収納した場所を覚えていなければ、探す時間が増える。
奥にしまったものが取り出せなければ、結局手前にものが溢れてしまう。
だからこそキッチン収納は、
「何を、どこに、どのくらい収納するのか」
から考えることが大切です。
01|まず「何を収納するのか」を考える
キッチン収納を考えるとき、最初に収納家具を決めるのではなく、
「キッチンに何があるのか」
を書き出してみることをおすすめします。
例えば、
- 食器
- 鍋
- フライパン
- 包丁
- 調理器具
- 調味料
- 食品
- 飲料
- キッチンペーパー
- ラップ・アルミホイル
- 洗剤
- ゴミ袋
- キッチン家電
- 保存容器
- 弁当用品
- 掃除用品
など。
さらに、
毎日使うもの
週に数回使うもの
たまにしか使わないもの
に分けてみると、収納場所が考えやすくなります。
02|「使う場所の近くに収納する」
収納で最も重要な考え方の一つが、
使う場所と収納場所を近づけること。
です。
例えば、コンロで使うフライパンをシンク下に収納するよりも、コンロに近い場所に収納した方が、出し入れがスムーズです。
同じように、
包丁 → 調理スペースの近く
調味料 → コンロの近く
食器 → 配膳する場所の近く
グラス → 冷蔵庫やダイニングの近く
ゴミ袋 → ゴミ箱の近く
というように、
「どこで使うのか」
から収納場所を決めます。
収納量だけを考えるのではなく、収納と動線をセットで考えることがポイントです。
03|引き出し収納と開き戸収納
キッチン収納には、大きく分けて「引き出し」と「開き戸」があります。
現在のキッチンでは引き出し収納が一般的になっていますが、それぞれにメリットがあります。
引き出し収納
メリットは、収納したものを上から見渡しやすいこと。
奥に入れたものも引き出すことで確認しやすくなります。
鍋やフライパン、食器、調理器具など、日常的に使うものとの相性が良い収納です。
一方で、収納物によっては高さを有効に使いにくい場合があります。
開き戸収納
大きなものや高さのあるものを収納しやすいのが特徴です。
また、収納方法によっては奥行きを活用できます。
ただし、奥に収納したものが取り出しにくくなりやすいため、
「何を収納するのか」
を考えて選ぶことが重要です。
04|吊戸棚は本当に必要?
キッチンの収納量を増やす方法として、吊戸棚があります。
しかし、
「収納が増えるから付ける」
だけで決めるのは少し注意が必要です。
吊戸棚は高い位置にあるため、身長によっては使いにくい場合があります。
また、頻繁に使うものを収納すると、毎回手を伸ばすことになり、かえってストレスになることもあります。
一方で、
- 使用頻度の低い食器
- 来客用の食器
- 季節用品
- ストック品
などを収納するには便利です。
吊戸棚は、
「普段使うものを収納する場所」ではなく、「使用頻度の低いものを収納する場所」
として考えると、使いやすい収納計画につながります。
05|カップボードは「食器棚」だけではない
カップボードは、食器を収納するだけの場所ではありません。
実際には、
- 食器
- グラス
- 食品ストック
- 電子レンジ
- 炊飯器
- コーヒーメーカー
- トースター
- 電気ケトル
- ゴミ箱
など、多くのものを収納・設置する場所になります。
だからこそ、カップボードを考えるときには、
「何を収納するか」+「何を置くか」
の両方を考えることが重要です。
特にキッチン家電は、後から増えることがあります。
今持っている家電だけではなく、
「将来、家電が増える可能性」
も考えておくと安心です。
06|キッチン家電の収納
キッチン収納で意外と難しいのが、家電の収納です。
電子レンジ。
炊飯器。
トースター。
コーヒーメーカー。
ミキサー。
ホットプレート。
電気ケトル。
これらをすべてキッチンの上に置くと、作業スペースがどんどん狭くなります。
そこで、
「普段使う家電」と「たまに使う家電」を分ける
という方法があります。
毎日使うものは取り出しやすい場所へ。
使用頻度の低いものは収納内部へ。
これだけでもキッチンの見た目と使いやすさが変わります。
07|パントリーを作るべき?
食品や日用品をまとめて収納できるパントリー。
キッチンの収納量を増やす方法として非常に便利です。
しかし、
「パントリーがあれば必ず便利」
というわけではありません。
パントリーを作ることで、
- キッチンから離れすぎる
- 取り出すために毎回歩く
- 奥行きが深すぎて使いにくい
- 何を収納したのか分からなくなる
といった問題が起こることもあります。
パントリーは広さだけでなく、
「キッチンからの距離」
「棚の奥行き」
「収納するもの」
まで考えて計画することが重要です。
08|意外と忘れやすい「ゴミ箱」の収納
キッチン収納を考えるとき、ぜひ最初から考えてほしいのが、
ゴミ箱の場所です。
キッチンが完成してから、
「ゴミ箱を置く場所がない。」
というケースは珍しくありません。
ゴミ箱は意外と大きく、毎日使うものです。
そのため、
- カウンター下
- シンク下
- カップボード下
- キッチン背面
- パントリー内
など、最初から場所を決めておくことをおすすめします。
さらに、
ゴミ箱の容量
フタの開き方
ゴミ袋の交換方法
分別方法
まで考えておくと、より使いやすくなります。
キッチン収納では、
「収納するもの」だけでなく、「収納しないもの=ゴミ箱」まで考える。
これが意外と重要です。
→ キッチンのゴミ箱について詳しく見る
09|「奥行き」は収納量より重要かもしれない
収納を増やそうとして、奥行きの深い収納を作ることがあります。
しかし、奥行きが深ければ収納量が増える一方で、
奥のものが取り出しにくくなる
という問題があります。
例えば食品ストック。
奥行きが深すぎると、奥に何が入っているのか分からなくなります。
収納では、
「どれだけ入るか」ではなく、「奥まで使えるか」。
という視点も重要です。
10|収納は「高さ」も使い分ける
収納スペースは、
高さ・幅・奥行き
の3方向で考えます。
よく使うものは、
腰から目線くらいの高さ
に。
重いものは、
低い位置
に。
使用頻度の低いものは、
高い位置
に。
というように、収納するものによって高さを変えると、使いやすくなります。
特に重い鍋や家電を高い位置に収納するのは、出し入れの負担につながるため注意が必要です。
11|「見せる収納」と「隠す収納」
キッチン収納には、
見せる収納
と
隠す収納
があります。
見せる収納は、調理器具や食器などをインテリアの一部として楽しめるのが魅力です。
一方、隠す収納は生活感を抑え、キッチンをすっきり見せやすくなります。
どちらが正解ということではありません。
例えば、
お気に入りの食器や調理器具
→ 見せる
生活感の出やすいストック品や掃除用品
→ 隠す
というように、
「何を見せて、何を隠すのか」
を決めると、デザインと使いやすさを両立しやすくなります。
12|収納は「増やす」より「減らす」ことも大切
収納計画を考えるとき、
「収納を増やしたい」
という相談は非常に多くあります。
しかし、収納スペースを増やす前に、
「本当に必要なものなのか?」
を考えることも大切です。
使っていない調理器具。
何年も使っていない食器。
同じ用途の道具。
増えすぎた保存容器。
こうしたものを整理するだけでも、必要な収納量は変わります。
つまり、
キッチン収納は、収納を増やす計画であると同時に、「持ち物を整理する計画」でもあります。
13|キッチン収納を考える5つのポイント
迷ったときは、次の5つから考えてみてください。
① 何を収納する?
食器、鍋、食品、家電など、収納物を具体的にする。
② どこで使う?
使用場所の近くに収納する。
③ どのくらい使う?
使用頻度によって収納場所を変える。
④ どう取り出す?
引き出し、開き戸、棚など、収納方法を選ぶ。
⑤ 将来増える?
家族構成や家電の増加など、将来の変化も考える。
KITCHEN STORAGE CHECK LIST
キッチンを計画するときは、ぜひ確認してみてください。
□ 食器の量はどのくらい?
□ 鍋・フライパンは何個ある?
□ 調理器具はどのくらいある?
□ 食品ストックはどのくらい必要?
□ キッチン家電は何台ある?
□ 将来、家電が増える可能性は?
□ ゴミ箱はどこに置く?
□ ゴミ箱は何個必要?
□ パントリーは必要?
□ 吊戸棚は必要?
□ よく使うものを取り出しやすい場所に収納できる?
□ 重いものを高い位置に収納していない?
□ 奥行きが深すぎない?
□ 見せたいものと隠したいものを分けている?
最後に
「収納が多いキッチン」ではなく、「使いやすい収納のあるキッチン」を。
キッチン収納を考えるとき、つい収納量ばかりに目が向いてしまいます。
しかし、本当に大切なのは、
どれだけ入るかではなく、
どれだけ使いやすいか。
そして、
何をどこに収納すると、自分の暮らしが楽になるのか。
ということです。
収納は、キッチンの見た目にも、家事動線にも、毎日のストレスにも大きく関係します。
だからこそ、
「とりあえず収納を増やす」
のではなく、
「使う場所・使う頻度・収納するもの」
から考えてみてください。
キッチンデザイン研究所では、これからも実際のオーダーキッチンの現場で感じてきたことをもとに、収納の考え方や収納用品、カップボード、パントリー、ゴミ箱などについて研究・発信していきます。