レイアウト・予算・メーカー・造作まで、キッチン選びの基礎を知る
「キッチンを新しくしたい。」
「新築住宅でキッチンを選びたい。」
「リフォームでキッチンを交換したい。」
色んなシーンでキッチンを探さないといけない。
そんなとき、最初に何を考えればよいのでしょうか?
キッチンを探し始めると、
「システムキッチン」
「オーダーキッチン」
「造作キッチン」
「アイランドキッチン」
「食洗機」
「セラミック天板」
「ダークキッチン」
など、たくさんの言葉が出てきます。
ショールームに行ってみても、商品の多さに迷ってしまう方も少なくありません。
しかし、キッチン選びで最初から細かな商品を決める必要はありません。
まず考えたいのは、「どんなキッチンにしたいのか」
そして、「自分の暮らしには、どんなキッチンが合うのか」
ということです。
これまでさまざまな住宅のキッチン計画に携わってきましたが、キッチン選びでは、商品やメーカーの比較よりも先に全体の考え方を整理することが重要だと感じています。
この記事では、キッチンを初めて選ぶ方に向けて、
- キッチンのレイアウト
- キッチンのサイズ
- キッチンの種類
- 予算
- メーカー
- システムキッチン
- オーダーキッチン
- 造作キッチン
- キッチンを選ぶ順番
について、基本から分かりやすく整理します。
目次
- まず知っておきたいキッチンの基本
- キッチンの代表的なレイアウト
- キッチンのサイズはどう考える?
- システムキッチン・オーダーキッチン・造作キッチンの違い
- メーカーのシステムキッチンとは?
- オーダーキッチンとは?
- 造作キッチンとは?
- キッチンの予算はどのくらい考える?
- キッチンの価格は何で変わる?
- キッチン本体だけで予算を考えない
- メーカー選びはどう考える?
- キッチンを選ぶおすすめの順番
- 高いキッチン=良いキッチンではない
- まとめ|キッチン選びは「商品」より「暮らし」から
1.まず知っておきたいキッチンの基本
キッチンを考えるとき、最初に整理したいのは大きく4つです。
① 家のどこにどう配置するか
間取りを含めたキッチンのレイアウトです。
1階にキッチンでみんなが集まりやすいくするのか、2階キッチンで眺望や採光など、周辺環境に合わせて設置階を決め、他の水廻りと近いか、ゴミはどう捨てるか、など。
間取りと合わせて、アイランドやペニンシュラ、L型に二列型など、様々なレイアウトの検討が必要です。
② どのくらいの大きさにするか
間口、奥行き、高さ、通路幅などです。
使う人、住む人、建物の大きさによっても左右される内容です。
③ 何を使うか
コンロ、食洗機、水栓、レンジフード、冷蔵庫などの機器や天板、扉などの素材です。
海外製の食洗機が良い。お手入れのしやすいレンジフードにしたい。傷や汚れに強い素材が希望。など、優先順位も合わせて検討が必要です。
④ いくらかけるか
キッチン本体だけでなく、周辺内装や工事費なども含めた予算です。
ほとんどの方がなんとなく、キッチン金額については採用検討時に見る事になりますが、それが希望通りの内容での金額かどうか。というのは、理解しにくいです。が、重要なことなので、しっかりと調べて、無駄を抑え、要望が叶えられる金額をある程度は把握する事が必要です。
この4つをある程度整理してから、具体的なメーカーや商品を選んでいくと、キッチン選びがかなり分かりやすくなります。
2.キッチンの代表的なレイアウト
キッチンにはさまざまなレイアウトがあります。
代表的なのは、
- I型
- L型
- ペニンシュラ型
- アイランド型
- Ⅱ型
- U型
などです。
I型キッチン
壁面に沿って一直線に配置する、最も基本的なレイアウトです。
比較的コンパクトにまとめやすく、スペースを有効に使いやすいのが特徴です。
キッチンをあまり大きくしたくない場合や、リビング・ダイニングを広く確保したい場合にも向いています。
周りからキッチン使用面が良く見えるレイアウトなので、デザインは他のキッチンと比べても念入りに考える必要があります。
ペニンシュラキッチン
キッチンの一方が壁につながっている対面型のキッチンです。
リビングを見ながら料理ができるため、現在の住宅でも人気の高いレイアウトです。
「オープンキッチンにしたいけれど、アイランドほどスペースを使いたくない」
という場合の選択肢になります。
また壁を有効に使う事も出来るので、見た目・使い勝手のバランスがとりやすい。
アイランドキッチン
キッチンの周囲を人が通れるように配置するレイアウトです。
開放感があり、キッチンをLDKの中心として見せることができます。
一方で、四方向に通路が必要になるため、ある程度のスペースが必要です。
また、キッチンが空間の中でも主張するレイアウトになるので、
収納・家電・ゴミ箱などを含めたキッチン関連部分の意匠計画
が非常に重要になります。
L型キッチン
キッチンをL字型に配置するレイアウトです。
作業スペースを確保しやすく、調理動線を短くできる場合があります。
ただし、コーナー部分の収納をどのように使うかは、事前に考えておきたいポイントです。
またL形も、二方とも壁付か、一方は対面型か、はたまた贅沢にアイランドL型なのか。同じL型でも様々な展開が出来るレイアウトになります。
Ⅱ型キッチン
キッチンを2列に分けるレイアウトです。
例えば、コンロ+作業スペースとシンク+食洗機
を分けることができます。
作業動線を短くしやすく、二人での作業に向いている一方、シンク~コンロ間の食材移動や通路サイズの検討が重要になります。
また間取りの制約も少ない為、キッチンスペースが限られる間取りでも配置出来るメリットもあります。
3.キッチンのサイズはどう考える?
キッチンは、「大きいから使いやすい」とは限りません。
例えば、間口が大きくなると収納量や作業スペースは増えます。
しかし、
- 調理中の移動距離
- 冷蔵庫までの距離
- 食器を片付ける動線
- ダイニングとの位置関係
なども変わってきます。
重要なのは、「何mmのキッチンが正解か」ではなく、
「その人(家族)に必要なサイズはどのくらいか」です。
キッチン本体だけでなく、背面収納やパントリー、ダイニングとの距離も重要です。
収納奥行を大きくしすぎると、キッチンとの間が狭くなったり、ダイニングやリビングのスペースが小さくなってしまうことがあります。
また希望間取りとキッチンレイアウトの相性が良くないと、サイズ調整で無理やりな配置になる場合もあるので、キッチンサイズは、単体ではなくLDKや他の部屋との関わりと、キッチン含むの動線も一緒に考えることが大切です。
4.システムキッチン・オーダーキッチン・造作キッチンの違い
キッチンには、大きく分けて3つの選択肢があります。
ここを理解すると、キッチン選びが一気に分かりやすくなります。
5.メーカーのシステムキッチンとは?
システムキッチンは、メーカーが用意したキャビネットや機器、天板などを組み合わせて構成するキッチンです。
代表的なメーカーには、
- LIXIL
- TOTO
- Panasonic
- クリナップ
- タカラスタンダード
- トクラス
- ウッドワン
など、さまざまなメーカーがあります。
※メーカーによって商品構成や仕様は異なります。
システムキッチンの大きなメリットは、
商品構成が整理されていて、選びやすいこと
です。
また、収納や機器なども含めて一つのシリーズとして設計されているため、全体をまとめやすいという特徴があります。
一方で、規格があるため、
「この寸法だけ変更したい」
「この部分だけ別の素材にしたい」
「気になっている海外機器を採用したい」
といった細かな要望には対応しにくい場合があります。
6.オーダーキッチンとは?
オーダーキッチンは、住宅や暮らしに合わせてキッチンを計画していく方法です。
例えば、
- 間口
- 奥行き
- 高さ
- レイアウト
- 収納
- 天板
- 扉
- 機器
などを組み合わせて、自分の希望に合わせて設計できます。
最大のメリットは、
「住宅や人が供給されるキッチンに合わせる」のではなく、
「住宅と暮らしや人にキッチンを合わせられる」
ことです。
例えば、
「身長に合わせて高さを調整したい」
「大きな鍋をたくさん収納したい」
「家電をすべて隠したい」
「大型食洗機を入れたい」
「キッチンとダイニングテーブルを一体化したい」
「食器を飾るスペースがほしい」
といった要望にも対応しやすくなります。
一方で、自由度が高い分、「何を選べばいいのか分からなくなる」という問題が起こることもあります。
オーダーキッチンは、自由に選べることがメリットであると同時に、しっかりと計画することが重要なキッチンでもあります。
代表的なメーカーには、
- Linea Talara(リネアタラーラ)
- kitchenhouse(キッチンハウス)
- CUCINA(クッチーナ)
- Living Products(リビングプロダクト)
- Lesarc(レザルク)
- FILE(ファイル)
- CREDO(クレド)
など、さまざまなメーカーがあります。
また日本のメーカーではなく、海外メーカーという選択肢もあります。
7.造作キッチンとは?
造作キッチンは、家具製作会社や工務店(大工)などが、住宅に合わせて製作するキッチンです。
完全に自由な寸法で製作できる場合もあり、家具としてのデザイン性を重視したい場合にも適しています。
例えば、
「キッチンを家具や内装材と合わせて作りたい」
「既製品にはないキッチンにしたい」
「収納を特殊な形にしたい」
といった場合に選択肢になります。
ただし、製作する会社によって、
- 使用する金物(引出や開扉の使用感や耐久性に影響します)
- 機器への対応(故障時や交換時の相談含む)
- メンテナンス(体制がしっかりしているかどうか)
- 保証(補償内容や対応範囲、相談窓口があるかどうか)
- 施工品質(実物が事前に確認出来ない場合が多い)
などに差があり、メーカー品と一律で比べるのが非常に難しいです。
そのため、価格だけではなく、
「誰が設計し、誰が製作し、誰が施工し、将来どうメンテナンスするのか」
まで確認することが重要です。
8.キッチンの予算はどのくらい考える?
キッチンの価格は、かなり幅があります。
量産されている規格キッチンでは100万円しない物があったり、完全オーダーで海外メーカーを採用すれば数千万するキッチンもあります。
なぜなら、
「キッチン」と一言で言っても、メーカーや素材、機器、サイズによって金額がそれぞれで大きく変わるからです。
ざっくり項目ですが、例えば
- キッチン本体
- 天板
- 扉
- 食洗機
- IH・ガスコンロ
- レンジフード
- 水栓
- 浄水器
- カップボード
- 搬入費
- 施工費
- 諸経費
などが関係します。
そのため、「キッチン本体○○万円」だけで予算を判断しないことが重要です。
同じサイズのキッチンでも、一般的な機器を組み合わせる場合と、高性能な海外製機器を組み合わせる場合では、総額が大きく変わることがあります。
9.キッチンの価格は何で変わる?
価格に影響する代表的な要素は、
レイアウト
I型よりも、アイランドやL形など、複雑な形状の方が高くなる場合が多いです。
サイズ
大きくなれば、キャビネットや天板などの数量が増え、価格が上がる事が多いです。
天板
ステンレス、人工大理石、セラミック、クオーツ、天然石など、素材によって価格が変わります。
扉
メラミン、塗装、突板、無垢材、ガラスなど、仕上げによって価格が変わります。
機器
食洗機、加熱機(IH・ガスコンロ)、水栓、レンジフードなどの選択で大きく変わります。
収納
カップボードやトール収納などを追加すると、当然ながら総額も上がります。
また特殊な金物を使って家電収納を作ったり、飾り棚にするための意匠にしたり、様々な展開も収納で叶える事が出来、それもそのまま価格上昇に繋がります。
どんな暮らしをしたいかによって、キッチンに関わる様々な使用や内容が変わり、それが価格に反映されます。
10.キッチン本体だけで予算を考えない
キッチンを計画するときに意外と忘れられやすいのが、周辺部分の費用です。
例えば、
- パントリー
- 照明
- コンセント
- 床や壁の仕上げ
- 給排水工事
- 電気工事
- その他経費
などです。
特にオープンキッチンの場合、キッチン本体だけではなく、LDK全体のインテリアとのバランスも考える必要があります。
そのため、
「キッチンにいくら使うか」も重要ですが、「キッチンまわり全体にいくら使うか」
という考え方がおすすめです。
11.メーカー選びはどう考える?
キッチンメーカーを選ぶとき、「一番人気のメーカーは?」と考える方もいます。
しかし、必ずしも人気ランキングだけで決める必要はありません。むしろ、参考程度に考えた方が良いです。
メーカーごとに、
- デザイン
- 収納
- 天板
- 扉
- 機器
- 素材
- 価格
- メンテナンス
- ショールーム
- 対応できるレイアウト
などに特徴があります。
大切なのは、
「どのメーカーが一番良いか」ではなく、「自分の希望に合うメーカーはどこか」
です。
例えば、
「収納を重視したい」
「掃除のしやすさを重視したい」
「デザインを重視したい」
「海外製の食洗機を入れたい」
「価格を抑えたい」
など、優先順位を決めるとメーカーを比較しやすくなります。
12.キッチンを選ぶおすすめの順番
キッチン選びで迷ったら、次の順番を参考に考えてみてください。
ただし、順番通りに必ず決める必要はありません。
必要な収納や素材から決めても良いですし、予算上限をSTEP2にしても良いです。
また決めすぎてしまうと、実際にショールームなど行って体感した時に、希望と違う方が良い事も多々あるので、柔軟に変更できるくらいのタイミングや感覚で決める事をオススメします。
STEP 1|暮らしを考える
まず、誰がメインで使い、他の方もどの程度使うのか?を考えます。
奥様、ご主人様。
子ども。
両親。
シェフ。
などです。
STEP 2|レイアウトを決める
次に、
I型なのか。
L型なのか。
ペニンシュラなのか。
アイランドなのか。
Ⅱ型なのか。
を考えます。
STEP 3|サイズを決める
間口。
奥行き。
高さ。
通路幅。
背面収納との距離。
などを考えます。
STEP 4|収納を考える
「何を持っているのか?」「何を何処に入れたいか」を一度整理します。
鍋。
食器。
調理器具。
食品。
家電。
ゴミ箱。
などです。
STEP 5|必要な機器を決める
食洗機。
IH。
ガスコンロ。
水栓。
レンジフード。
オーブン。
などを検討します。
STEP 6|素材とデザインを決める
天板。
扉。
取手。
色。
木目。
石目。
などを決めていきます。
STEP 7|予算と照らし合わせる
最後に、「やりたいこと」と「予算」を調整します。
最初から価格だけで決めるのではなく、
優先順位を決めてから予算を調整する
方が、後悔しにくいキッチンになります。
13.高いキッチン=良いキッチンではない
キッチン選びで一番伝えたいのは、
高いキッチンが、必ずしも自分にとって良いキッチンとは限らない
ということです。
高価な天板。
高性能な食洗機。
高級な水栓。
高価な収納。
これらを組み合わせれば、確かに魅力的なキッチンになります。
しかし、
「ほとんど使わない機能」
「必要以上に大きな収納」
「自分には合わないレイアウト」
にお金をかけても、使いやすさや満足度が上がることはありません。
反対に、必要なところにしっかりお金をかけ、必要のないところはシンプルにする。
そうすることで、価格以上に満足度の高いキッチンをつくることができます。
14.まとめ|キッチン選びは「商品」より「暮らし」から
キッチンを選ぶとき、最初からメーカーや商品を決める必要はありません。
まず、どんな暮らしをしたいのか。を考えてみてください。
そのうえで、
レイアウト
↓
サイズ
↓
収納
↓
機器
↓
素材
↓
メーカー・製作方法
↓
予算
という順番で考えていくと、キッチン選びが整理しやすくなります。
システムキッチンにもメリットがあります。
オーダーキッチンにもメリットがあります。
造作キッチンにもメリットがあります。
と当時に各キッチンにはデメリットも存在します。
製作出来る/出来ない。価格が高い/安い。機器選択出来る/出来ない。など。
しかし、大切なのは、
「どれが一番優れているか」ではなく、
「自分の暮らしにどれが合っているか」
です。
キッチンは、毎日使うものだからこそ、単純にデザインや価格だけで選ぶのではなく、
「10年後も使いやすいか?」
という視点まで持って選んでいただきたい設備です。
キッチンデザイン研究所では、キッチンを「暮らし」から考えます
キッチンは、見た目だけでも、機能だけでも決まりません。
レイアウト。
収納。
素材。
機器。
家電。
そして、そこで過ごす人の暮らし方。
さまざまな要素が組み合わさって、一つのキッチンになります。
住宅施工管理を4年、オーダーキッチン営業を15年経験してきた視点から、キッチンデザイン研究所では、
「本当に使いやすいキッチンとは何か?」
を考え、キッチン選びに役立つ情報を発信していきます。