「新しいキッチンには食洗機を付けた方がいい?」
キッチンの打ち合わせをしていると、この質問はかなり多く出てきます。
「食洗機があれば、食器洗いの時間を減らせそう」
一方で、
「結局、自分で洗った方が早いのでは?」
「食洗機に入れられないものもあるのでは?」
「ほとんど使わなくなったらもったいない……」
と考える方もいます。
実際、食洗機は付ければ必ず便利になる設備ではありません。
大切なのは、
「食洗機が便利かどうか」ではなく、「自分の暮らしに食洗機が必要なのか」
を考えることです。
住宅施工管理を4年、オーダーキッチン営業を15年経験してきた私自身、キッチンの打ち合わせでは、食洗機について「とりあえず付けておきましょう」と考えるのではなく、家族構成・料理の仕方・食器の量・キッチンの使い方まで考えて選ぶことをおすすめしています。
この記事では、
- 食洗機が向いている人
- 食洗機が必要ない人
- 食洗機のメリット
- 食洗機のデメリット
- ビルトインと卓上型の違い
- 引き出し式とフロントオープン
- 食洗機を選ぶときのポイント
- 食洗機を後悔しないための考え方
について、キッチンをつくる側の視点から解説します。
ちなみに、私は現在、プルオープンタイプの食洗機を使っておりますが、キッチン入替する事があれば、フロントオープンを選択します!!
あと、実家でもプルオープンタイプが付いてましたが、ほぼ使っておらず、ただの収納庫と化してます・・・
1.食洗機は本当に必要?
結論から言うと、
食洗機は「必要な人」と「なくても困らない人」が分かれる設備です。
例えば、毎日家族分の食器を使い、夕食後に大量の食器を洗っている家庭なら、食洗機によって家事負担を減らせる可能性があります。
一方で、
- 一人暮らし
- 食器をあまり使わない
- 料理をほとんどしない
- 使ったらすぐ洗う習慣がある
- 食洗機に入れられない食器が多い
- 入れるのが面倒だと感じる
という方の場合、食洗機を導入しても使用頻度が低くなる可能性があります。
つまり、
「みんなが付けているから付ける」
ではなく、
「自分は毎日どんなふうにキッチンを使っているのか」
から考えることが大切です。
2.食洗機が向いている人
食洗機が特に向いているのは、次のような方です。
家族が多い
家族が増えるほど、食器の量も増えていきます。
毎日の食器洗いを手作業で行う時間も増えていくため、食洗機のメリットを感じやすくなります。
お子様も成長に合わせて食器の量や、お弁当・水筒なども増えたりするので、今は不要でも今後必要になる?という視野も検討時には必要です。
料理をよくする
料理をすると、食器だけでなく、
- 鍋
- フライパン
- ボウル
- ザル
- 調理器具
など、洗うものが増えます。
食器だけでなく、対応可能な調理器具までまとめて洗えることが、食洗機の大きな魅力です。
食後の片付けが苦手
料理は好きだけれど、
食後の洗い物が嫌い。
という方にも食洗機は向いています。
「料理は楽しいけれど、片付けはしたくない」
という場合、食洗機はかなり相性の良い設備です。
ただ、自分で洗う必要はなくなりますが、食洗機へ食器たちを入れる作業は発生するので、出し入れが苦手な方は、食洗機検討時に食器類の出し入れのしやすさなども検討が必要です。
下記記事はフロントオープン食洗機のブランド毎の特徴をまとめております。

共働きで家事の時間を減らしたい
食洗機を導入する理由として非常に多いのが、家事時間の短縮です。
食器を入れる、洗剤を入れる、運転する、という作業は必要ですが、手洗いの時間を減らせます。
特に夕食後の時間を、
- 子どもとの時間
- 家族との会話
- 趣味
- 入浴
- 自分の時間
などに使いたい方にはメリットがあります。
3.食洗機がなくても困らない人
一方、次のような方は、無理に食洗機を導入しなくてもよいかもしれません。
一人暮らし
使用する食器が少なければ、手洗いの方が早く、効率がよい場合があります。
外食が多い
そもそも自宅で食事をする回数が少なければ、食洗機の使用頻度も低くなります。
食器をほとんど使わない
調理器具や食器が少ない家庭では、食洗機の容量を持て余す可能性があります。
手洗いが苦にならない
「食器を洗うこと自体が嫌ではない」という方なら、食洗機の優先順位は下がります。
4.食洗機のメリット
食洗機のメリットは、単純に
「食器を洗ってくれる」
だけではありません。
家事の時間を減らせる
最も分かりやすいメリットです。
食後の食器を入れて運転することで、食器洗いにかかる手作業を減らせます。
食後のキッチンを早く片付けられる
食器をシンクに置いたままにするのではなく、食洗機に入れてしまうことで、キッチンの見た目をすっきりさせやすくなります。
特にLDKと一体になったオープンキッチンでは、このメリットは意外と大きいです。
調理中の道具は調理後に入れ、食器は食後に各自で食洗機に入れる習慣を付ければ、綺麗な状況を維持しやすいです。
「洗う」を「入れる」作業に変えられる
食洗機を使うと、洗う → すすぐ → 拭く → 片付ける
という作業の一部を機械に任せることができます。
家事を完全になくすわけではありません。
しかし、人がやる作業を減らすという意味では、非常に合理的な設備です。
高温で洗浄が出来る
あまり着目されにくい点ですが、60℃~70℃の温度で洗浄出来る食洗機もあるので、手洗いが出来ない高温で洗浄出来る為、哺乳瓶やまな板の殺菌など、温度でのメリットもあります。
小さいお子様がいらっしゃる過程は、煮沸洗浄しなくてもよくなったり、食洗機によっては水筒や哺乳瓶など、筒状の物もしっかり洗える機能や構造になっているものもあるので、検討時にはチェックしてみてください。
ボッシュでは、高温除菌モード(Hygien⁺)の追加オプションが選択出来ます。
約70℃ですすぎを行い、除菌効果を高め、すすぎ時間が延長されるので、まな板や哺乳瓶の洗浄にも使用できます。という機能です。
手荒れや冬場の水作業が減る
洗剤で手が荒れてしまう事を防いだり、冷たい水での作業が減らせるメリットもあります。
5.食洗機のデメリット
しかしながら、デメリットもあります。
本体価格が上がる
食洗機を付ければ、その分キッチンの価格も上がります。
さらに、大容量タイプや高機能タイプなどを選ぶと、価格差は大きくなります。
安めのビルトイン食洗機でも、本体代が数万+施工費や送料なども含めると最低10万程度は掛かります。
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もっとグレードの高い食洗機や、海外メーカーなどの場合は更に高額になります。
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食洗機に入れる作業は必要
食洗機を付ければ、何もしなくてよいわけではありません。
食器や調理道具などを食洗機へ入れる作業は必要です。
フロントオープンかプルオープン(引出式)かでも、入れる作業の内容は変わります。
庫内の大きさ、出し入れのしやすさなど、収納方法に関しても、検討が必要です。
また、食器の形状や材質によっては、食洗機に適さないものもあります。
食器を収納するスペースが必要
食洗機は便利ですが、その分キッチンキャビネットの一部を使用します。
つまり、
「食洗機を入れる=収納スペースの一部を食洗機に変更する」
という考え方もできます。
キッチンのサイズが限られている場合は、収納量とのバランスも考える必要があります。
とはいえ、食洗機がない場合、洗った食器を仮置きする場所や、乾かす場所なども必要になるので、どちらの優先順位が高いかの検討が必要です。
6.「食洗機を使わなくなる」のはなぜ?
食洗機を導入したものの、「結局使わなくなった」という話を聞くことがあります。
なぜでしょうか。
理由の多くは、食洗機を使うまでの動作が面倒だからです。
例えば、
食器を予洗いする
↓
食洗機に入れる
↓
食器を並べる
↓
洗剤を入れる
↓
運転する
↓
終わったら食器を片付ける
という作業があります。
この動作が自分の生活に合っていなければ、次第に使わなくなる可能性があります。
そのため、
「食洗機を買う」だけではなく、「食洗機を使いやすいキッチンをつくる」
ことが重要です。
他の理由のとしては、食洗機を使った際の汚れ残りが気になる。
ということもあげられます。
昔の食洗機はあまり洗浄能力が高く無かったり、
食器の入れ方次第で重なっていて洗えてなかったり、
水圧で軽い器がひっくり返って水が溜まってしまっていたり、と様々。
その点、手洗いなら目視で確認して洗い残しがないよう作業ができ、また繊細な食器や食洗機NGな器なども問題なく洗う事が出来ます。
予洗いをするくらいなら、自分で洗ってしまう方が早い!という方は無理に導入しなくても良い。という判断になる場合もあります。
7.ビルトイン食洗機と卓上型食洗機
食洗機には大きく、ビルトイン型 と 卓上型があります。
ビルトイン食洗機
キッチンのキャビネットに組み込むタイプです。
キッチンと一体化するため、見た目がすっきりします。
新築やキッチンリフォームのタイミングであれば、検討しやすい選択肢です。

卓上型食洗機
キッチンカウンターなどに置いて使用するタイプです。
既存キッチンに後から導入しやすいのがメリットです。
一方で、カウンター上のスペースを使用するため、キッチンの作業スペースとのバランスを考える必要があります。

8.プルオープンとフロントオープンの違い
ビルトイン食洗機にも、さまざまな方式があります。
代表的なのが、プルオープン式(引き出し式)とフロントオープン式です。
プルオープン式(引き出し式)
食洗機の扉を手前に引き出して、上から食器を入れるタイプです。
日本のシステムキッチンでも多く採用されている方式です。
1アクションで出し入れが出来、腰を屈めなくても対応出来る反面、下の物をから順番に入れないといけない。あとで食器を追加で入れにくい。などメリット・デメリットがあります。
フロントオープン式
扉を手前に開き、庫内を大きく使えるタイプです。
海外製食洗機などに多く見られる方式です。
※最近では、パナソニックを筆頭に、東芝でも庫内が大きいフロントオープン食洗機があります。
大量の食器や調理器具をまとめて洗いたい場合には、魅力的な選択肢になり、各バスケットやトレイが個別でスライドするので、食器が入れやすく、追加もしやすいが、扉を開けてからスライドしてバスケットやカトラリーを出す必要があり、2アクションになるので、少し手間が増えます。
ただし、必要な容量や使い勝手は家庭によって違います。
「フロントオープンだから絶対に良い」というわけではありません。
重要なのは、自分がどれだけの食器を、どのように洗いたいのかです。
9.食洗機は何人用を選ぶ?
食洗機選びでは、
「何人家族だから○○サイズ」
と単純に決めるのではなく、
「1日にどれくらいの食器を使うのか」
で考えることをおすすめします。
例えば4人家族でも、
朝食は簡単。昼食は外食。夕食だけしっかり料理する。
という家庭と、
朝・昼・夜すべて自炊する家庭では、必要な容量が違います。
さらに、鍋やフライパンまで食洗機で洗いたいのか?
という点でも必要な容量は変わります。
10.食洗機を選ぶときに重要なこと
食洗機を選ぶ際は、次のポイントを確認しましょう。
① 容量
家族人数だけではなく、実際に使用する食器量で考えます。
幅の違い(W450/W600)もあるので、キッチンのサイズも合わせて確認。
② 入れやすさ
食器を入れる作業が面倒だと、使わなくなる可能性があります。
③ 洗いたいもの
食器だけなのか。鍋や調理器具も洗いたいのか。ここは非常に重要です。
④ 運転時間
食事のタイミング、食器量に合っているか含む自分や家族の生活リズムを確認します。
⑤ 乾燥方法
乾燥機能の有無や方式も確認しましょう。
⑥ お手入れ方法
フィルターなど、定期的な清掃が必要な部分も確認しておきます。
⑦ 修理・メンテナンス
長く使う設備だからこそ、「故障したときにどうするのか」も考えておきたいポイントです。
海外メーカーでも国産同様、すぐに対応出来るメーカーも多いです。
11.食洗機を付けるなら、キッチン設計の段階で考える
新築やオーダーキッチンの場合、食洗機はかなり早い段階で決めることをおすすめします。
なぜなら、
食洗機の位置によって、キッチンの収納や動線が変わるからです。
例えば、
シンク
↓
食洗機
という配置にすると、食器をシンクから食洗機へ移動しやすくなります。
さらに、
食洗機 → 食器収納
までの距離も考えると、片付けがしやすくなります。
つまり、
「食洗機単体」ではなく、
「シンク・食洗機・食器収納」を一つの動線として考える
ことが重要です。
これはオーダーキッチンを計画する際に、特に意識したいポイントです。
12.食洗機のために収納を減らす価値はある?
これは非常に悩ましいポイントです。
食洗機を入れると、その分キャビネット収納は減ります。
しかし、私は、
毎日使う家事を減らせるのであれば、
収納の一部を食洗機に置き換える価値は十分にある
と考えています。
例えば、食器を毎日20分洗っているとします。
1日20分なら、1週間で約140分。1か月では約10時間になります。
もちろん実際の時間は家庭によって違いますが、
毎日の家事時間を減らせる設備
と考えると、食洗機の価値が見えてきます。
キッチン収納は「多ければ良い」というものではありません。
収納を増やすことと、家事を減らすこと。
どちらを優先するのかを考えることも、キッチン設計では重要です。
13.食洗機は「家事を減らす設備」と考える
食洗機について考えるとき、「食器洗い機」として考えると、
「自分で洗えばいい」という結論になりやすいです。
しかし、
「家事時間を減らすための設備」
と考えると、見方が変わります。
キッチンには、
- 食洗機
- IH
- 自動水栓
- 浄水器
- 生ごみ処理機
- 電動昇降収納
- 家電収納
など、さまざまな設備があります。
これらを単純に「便利だから付ける」のではなく、
「自分の暮らしの中で、どの作業を減らしたいのか?」
から考える。
これが、これからのキッチン選びでは重要だと思います。
14.まとめ|食洗機は必要かどうかではなく、使う人に合わせて選ぶ
食洗機は、誰にとっても必要な設備ではありません。
しかし、
- 家族が多い
- 料理をよくする
- 食器が多い
- 共働き
- 食後の片付けを減らしたい
- 家族との時間を増やしたい
という方には、大きなメリットがあります。
一方、
- 一人暮らし
- 外食が多い
- 食器が少ない
- 手洗いが苦にならない
という方であれば、優先順位を下げてもよいでしょう。
大切なのは、「食洗機を付けるか、付けないか」ではありません。
「自分の暮らしの中で、何を楽にしたいのか?」
を考えることです。
そして、食洗機を導入するのであれば、
容量だけではなく、シンク・食洗機・食器収納まで含めたキッチン全体の動線
を考えて選びましょう。
食洗機は単なる家電ではありません。
毎日の家事を少し減らし、時間を生み出すためのキッチン設備
として考えてみると、自分に必要なのかどうかが見えてきます。
キッチンデザイン研究所の考え方
キッチンは、見た目だけでも、機能だけでも決まりません。
レイアウト。
収納。
素材。
機器。
家電。
そして、そこで暮らす人の生活スタイル。
すべてを合わせて考えることで、
「本当に使いやすいキッチン」
が見えてきます。
住宅施工管理4年、オーダーキッチン営業15年の経験から、キッチンデザイン研究所では、カタログだけでは分からない実際の使い勝手や選び方について発信しています。

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